中小企業の社長さんに押さえておいて欲しい会社の税金のはなしの4回目は、売上原価の計上基準です。
売上をあげるためには、それに要した原価があるはずです。
基本的に、税務の世界では売上と売上原価は対応関係にあるため、同じ事業年度に計上する必要があります。また、売上金額は決まっているのに、売上原価は確定していないケースの場合には、その売上に対応する売上原価を見積もり計上することができます。
今回はこのような売上原価の計上基準について、見ていきたいと思います。
売上と対応させる
当事業年度の費用(損金)となる売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価は、当事業年度の売上げに対応させる必要があります。
そのため、翌事業年度以降の売上げに対応する売上原価等は当事業年度の費用(損金)とはなりません。
税務では、売上より先に、売上原価や費用のような損金として計上されることになるものを計上することはできないという考え方が根底にあります。
仮に翌事業年度以降の売上原価等を当事業年度に計上して申告した場合、いわゆる期ずれの状態となり、修正申告する必要が生じてしまいます。修正申告となれば、延滞税というペナルティが課せられてしまいますので、売上と売上原価の対応関係については、慎重に確認する必要があります。
売上原価が確定していない場合は見積もり計上する
当事業年度に計上した売上げに対応する売上原価等の金額が、当事業年度終了の日までに確定していない場合は、同日の現況により適正に見積もり計上する必要があります。
当然見積もりで売上原価を計上するわけですから、実績と差額が生じることが想定できます。
そのような、見積もった売上原価等が、翌事業年度以降に確定し、差額が生じた場合には、その確定した事業年度に差額分を計上することになります。
売上げに関連して発生する費用であっても、単なる事後的費用の性格を有するもの(例えば、販売を完了した機械設備等に係る補修、点検、整備等に要する費用など)は、売上原価等となるべき費用ではないことから、見積計上することはできませんので注意が必要です。
例えば、製品を販売後、製品が故障してしまう場合を想定して、予めそのための対応費用を計上することは認められないということです。
これらの事後的費用は役務提供が完了し、債務が確定した時に、費用(損金)として計上することになります。
まとめ
■売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価は、同じ事業年度の売上げに対応させる。
■売上げに対応する売上原価等の金額が、事業年度終了の日までに確定していない場合は、同日の現況により適正に見積もり計上をする。