中小企業の社長さんに押さえておいて欲しい会社の税金のはなしの3回目は、売上の計上基準です。
会社の税金は1年間の会社の収支を基に計算されますが、もし売上の計上時期を任意に決められるとしたら、利益操作がいくらでも出来てしまいますよね。
税務署の視点で考えると、利益操作をされると税金が徴収できない、課税の公平性が保たれない結果となってしまいますので、売上の計上基準について、法律を軸に基準が規定されています。
この規定に沿って売上を計上しないと重加算税が課される等の罰則がありますので、今回の内容を押さえて正しい計算を行えるようにしましょう。
【売上の計上基準】棚卸資産(商品)の販売
棚卸資産の販売による収益は、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金となります。
益金とは税法上の収益のことをいいます。
この引渡しの日は、例えば出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等当該棚卸資産の種類及び性質、販売に係る契約の内容等に応じ引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、継続して収益計上を行うこととしている日をいいます。
【売上の計上基準】請負に係る収益
請負に係る収益は、原則として、物の引渡しを要するものは目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しないものは約した役務の全部を完了した日の属する事業年度の益金となります。
この引渡しの日は、建設工事等を行うことを目的とするものであるときは、例えば作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じ引渡しの日として合理的であると認められる日のうち継続して収益計上を行うこととしている日をいいます。
売上基準の継続適用
売上げの計上基準は、棚卸資産又は役務提供の種類、性質、契約の内容等に応じて合理的な基準を選択し、継続適用する必要があります。
売上げの計上基準を合理的かつ適切な理由もなく変更した場合には、変更後の計上基準は認められない場合があります。
基準をころころ変えることは租税回避行為と見なされる可能性がありますので注意が必要です。
売上金額が確定していないときの見積もり
引渡しの完了した棚卸資産の販売代金又は完成して引渡しを了した建設工事等の工事代金が当事業年度終了の日までに確定していない場合には、その販売代金等を同日の現況により合理的に見積もる必要があります。
見積計上した売上金額とその後確定した売上金額に差額が生じたときは、確定したときにおいて、その差額を益金又は損金の額に算入することになります。