前回に引続き2回目として、中小企業の社長さんが押さえておきたい会社の税金の話をします。
今回のテーマは税率です。
税率が把握できれば、利益を基におおよその税金負担額を把握できるようになります。
各種税率と実効税率
前回で会社はさまざまな税金がかかることをお話しましたが、税率も税の種類によってさまざまです。以下で詳細をみていきますが、覚える必要はありません。
覚えておいた方が便利なのは、実効税率です。
実効税率とは、会社の実質的な税負担率のことをいい、法人税、住民税および事業税の所得に対する税率を合計したものとなります。これを覚えておけば、利益に対して実効税率をかけるだけでおおよその税額を把握することができるようになります。
各種税金の税率(資本金1億円以下の法人を対象)
(1)法人税、地方法人税【国税】
法人税と地方法人税の適用税率は、以下となっています。
法人税額の課税標準(税を賦課する場合の算定基準となるべきもの)は所得です。所得とは、会社の利益に税法に定められた一定の調整を加えたものです。
地方法人税の課税標準は法人税額です。そのため、地方法人税は法人税が増えれば比例的に増加することになります。
(2)法人住民税【地方税】
法人住民税の適用税率は、以下となっています。
地方税は地方自治体によって税率が異なる場合があるため、ここでは一般的な税率である標準税率を記載します
法人住民税の課税標準は法人税額です。(法人税割)また、これとは別に均等割という定額の税金が掛かってきます。
事業税、地方法人特別税【地方税】
事業税と地方法人特別税の適用税率は、以下となっています。なおこちらでも一般的な税率である標準税率を記載します。
事業税の課税標準は所得になります。
地方法人特別税の課税標準は事業税(所得割)を標準税率で計算したものになります。
実効税率(資本金1億円以下の法人を対象)
実効税率の計算の対象となる税金は、利益に関連する金額を課税標準とする税金です。
具体的には上記に記載してきた①法人税,②法人住民税(法人税割)および③事業税(所得割)です。
実効税率の算定式は以下となります。
これから実効税率の計算を行いますが、ここで対象となるのは、資本金1億円以下の法人を対象とし、地方税の各種税率は標準税率、事業税の所得割は軽減税率を適用する場合を想定しています。
所得金額 400万円以下の部分
所得金額 400万円超~800万円以下の部分
所得金額 800万円超の部分
実効税率と税額について
上記で見て分かるとおり、所得が800万円以下の場合には実効税率が低いことが分かります。
これは法人税と事業税の軽減税率が働くためです。
会社の利益が固まりましたら、上記の金額の区分に応じた実効税率を乗じることにより、大まかな税金負担額を把握することができます。