平成29年度税制改正により、個人の所得税で適用される医療費控除について、手続き面で改正が入りました。
今回はその内容について見ていきたいと思います。
医療費控除の領収書の取扱いについて改正前の取扱い
改正前の取り扱いは、医療費控除の適用を受けようとする場合には、確定申告書を提出する際に、添付書類として医療費の領収書を併せて提出する必要がありました。
(電子申告の場合には、以前から医療費の提出は不要とされており、領収書の保存が必要とされています。)
領収書が大量にある場合は、郵送にて提出する際に、かさばってしまって大変という方も多いと思います。
医療費控除の領収書の取扱いについて改正後の取扱い
○改正後の取扱いは、医療費の領収書に代わり、「医療費控除の明細書」を提出することになりました。
そのため医療費の領収書は提出不要となります。
ただし、医療費の領収書は5年間保存義務があり、税務署から求められたときは、提示又は提出する必要があります。領収書自体は自分で5年間の間、保存しなければならず、領収書が多くある方にとっては、かなりかさばる書類になります。この点においては、改正前の税務署に提出する取扱いであれば、こちらでの保存義務はありませんのでしたので改正前の方が良かったと思われる方もいるかもしれません。
○さらに、健康保険組合等が発行する医療費のお知らせ等を添付すれば明細の記入を省略することも出来ます。
ただし、医療費に関するお知らせ等の明細を発行しているかどうかは、健康保険組合によりさまざまであり、発行していない組合もあります。明細を発行していない健康保険組合に加入している方の場合は、「医療費控除の明細書」を提出することになります。
下記に「医療費控除の明細書」の書式とその書き方のサンプルを国税庁の資料から転載しておきます。
適用時期
今回の改正は平成29年分の所得税の確定申告から適用されます。
なお経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、改正前の取扱い(領収書の提出)でも問題ありません。
先に少し述べさせて頂きましたが、領収書の添付が不要となる代わりに、自分自身での医療費領収書の保存義務が5年間発生します。税務上の手続きに関する証拠書類になりますので、保存義務についてはやむを得ないと思いますが、医療費が多い方にとっては煩わしいと感じる方もいるかもしれません。
現時点においては、経過措置により、領収書を提出したとしても税務署では受付してくれますので、当面の間は従来どおりの取扱いで問題ありません。