税金(個人)

【ふるさと納税の返礼品で確定申告が必要?】返礼品は寄附額の3割が上限に

 

ふるさと納税の利用者増に伴い、各地方団体の返礼品競争が加熱している現状ですが、総務省は4月1日付で各都道府県知事に、ふるさと納税に係る返礼品の調達価格を少なくとも寄附額の3割までに抑えるようにと通知を行いました。

今回は、ふるさと納税に係る返礼品の動向について、総務省の通知をもとに見ていきたいと思います。

 

f:id:hamatax:20170415230312p:plain

 

H29年4月時点におけるふるさと納税の方向性

各地方団体が独自の取組として行っている返礼品について、最近では、地方団体間の競争が過熱しています。

寄附する我々にしてみれば、返礼品が豪華になったり、特色のあるものになったりすることは嬉しいことである反面、そもそもふるさと納税の趣旨を考えてみたときに、返礼品が豪華すぎたり、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されている現状は各地方団体からしてみれば、今後の健全な制度運営を考えた時に好ましくないともいえます。

こうした現状を踏まえて主に返礼品の取扱いに関して、総務省は各都道府県知事に対して通知を行いました。

次項以降でその通知の内容について、原文と共にみていきます。

 

 

H29年4月1日付 総務省の通知の内容

(1)返礼品の価格、返礼割合の表示義務

 

「1 返礼品の価格等の表示について
「返礼品の価格」や「返礼品の価格の割合」(寄附額の何%相当など)の表示(各地方団体のウェブサイトや広報媒体等における表示のみでなく、ふるさと納税事業を紹介する事業者等が運営する媒体における表示のための情報提供を含む。)など、返礼品の送付が対価の提供との誤解を招きかねないような表示により寄附を募集する行為を行わないようにすること。」総務省-ふるさと納税に係る返礼品の送付等についてより

 

返礼品の価格=寄附額であるとの誤解を招きかねないような表示により、寄附を募集する行為をしないよう注意を促しています。

例えば、返礼品の実際の価格、返礼品の価格が寄附額の何%相当なのか等を表示することを例示であげ、ふるさと納税を紹介するWEB媒体についても指摘していることがポイントです。

 

 

ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品の制限

高額、換金性の高いもの

 

「次に掲げるようなふるさと納税の趣旨に反するような返礼品は、換金の困難性、転売防止策の程度、地域への経済効果等の如何にかかわらず、送付しないようにすること。
ア 金銭類似性の高いもの(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金等)
※1 使用対象となる地域や期間が限定されているものを含む。
※2 ふるさと納税事業を紹介する事業者等が付与するポイント等を含む。
イ 資産性の高いもの(電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車等)
ウ 価格が高額のもの
エ 寄附額に対する返礼品の調達価格の割合(以下、「返礼割合」という。)の高いもの」総務省-ふるさと納税に係る返礼品の送付等についてより

高額なものや換金性の高い返礼品は、ふるさと納税の趣旨に反するものですから、やめて下さいという趣旨です。

これは昨年の総務省の通知の中でも一部言われてきたことですね。

 

 

返礼割合は3割以下に

「上記エの返礼割合に関しては、社会通念に照らし良識の範囲内のものとし、少なくとも、返礼品として3割を超える返礼割合のものを送付している地方団体においては、速やかに3割以下とすること。」総務省-ふるさと納税に係る返礼品の送付等についてより

寄附額に対する返礼品の価格の割合(=返礼割合)を速やかに3割以下にしなさいという趣旨です。従来の返礼割合は平均して5割程度と言われてきましたので、影響は大きそうです。

今後、返礼品の見直しが起きることが予想されます。

 

 

返礼品は一時所得に

「一時所得について
ふるさと納税に係る寄附金控除の適用が、地方団体に対する寄附金額の全額(2,000円を除く。)について行われるのは、当該寄附が経済的利益の無償の供与として行われており、返礼品の送付がある場合でも、それが寄附の対価としてではなく別途の行為として行われているという事実関係であることが前提となっているものであるが、その場合においても、返礼品を送付する団体は、当該返礼品を受け取った場合の経済的利益については一時所得に該当するものであることを返礼品の送付の際などに、寄附者に対して周知すること。」総務省-ふるさと納税に係る返礼品の送付等についてより

返礼品は寄附者からしてみると実は税務上の一時所得になります。

ふるさと納税の返礼品なんて確定申告してないよと思われるかもしれませんが、大部分の人にとっては影響がなく、確定申告する必要はありません。

それは一時所得に対する所得税の計算式上、控除額として50万円が差引かれます。

つまり、返礼品の価格が50万円以上だったら、税額が生じますので確定申告が必要になります。

仮に返礼割合を5割だとして計算して見ると、寄附額は50万円÷0.5=100万円になります。

100万円以上の寄附をする予定のある方は留意が必要です。

 

 

まとめ

以上、総務省の通知について見てきましたが、要旨を下記に箇条書きしてみたいと思います。

・ふるさと納税サイト等の返礼品の紹介ページに返礼品の価格表示等や返礼割合の表示等が今後行われていく方向性。

・高額なもの、換金性の高い返礼品は今後なくなっていく方向性。

・返礼割合は3割が上限になっていく。

・返礼品は一時所得に該当するため注意が必要。

 

  • この記事を書いた人

jun.hamano

濱野純税理士事務所 代表。 【事務所HP】https://hamanotax.com 1980年10月 埼玉生まれ。埼玉県草加市育ち、東京・蒲田在住。税理士。中小企業診断士。節税、節約、税務処理を身をもって実践しブログに公開しています。

-税金(個人)
-,