H28年度、H29年度の税制改正により、株式による役員賞与や利益に連動する役員賞与が損金に算入することが可能となりました。
今回はその中でも株式による役員賞与について、取り上げてみたいと思います。
事前確定届出給与
28年度改正における事前確定届出給与の見直し( 法法34 ①二, 法令69 ②等)
いわゆる事前確定届出給与の範囲に、一定の「特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック,RS)による給与」が追加されています。
特定譲渡制限付株式とは、簡単にいうと株式の交付を受けるものの一定期間の間は売却することができず、制限が解除された時にはじめて自由に売却が可能となるものをいいます。
「特定譲渡制限付株式による給与」であれば、一定期間内に所轄税務署に対して確定額等を記載した届出書を提出することで、事前確定届出給与に該当し、損金算入が認められます。
特定譲渡制限付株式の概要等( 法法54 ①, 法令111の2 ②等)
株式報酬制度を導入する際の手続
会社法では、自社株式の無償発行や労務出資が認められていません。
そのため、譲渡制限付株式を活用した株式報酬制度を導入するには、①法人が役員に対して金銭報酬債権を付与、②役員が金銭報酬債権を現物出資財産として払い込み、③法人が役員に対して株式を交付するという一連の手続を経ることが必要になります。
税制措置の対象となる「特定譲渡制限付株式」とはどのようなものか
法人税法等及び所得税法施行令等においてそれぞれ規定されており、具体的には、次の各要件を満たすものとされています。
①一定期間の譲渡制限が設けられている株式であること。
②法人により無償取得(没収)される事由(無償取得事由)として勤務条件又は業績条件が達成されないこと等が定められている株式であること。
③役務提供を受ける法人又はその関係法人の株式であること。
→①~③の各要件を満たすものを「譲渡制限付株式」といいます。
④役務提供の対価として役員等に生ずる債権の給付と引換えに交付される株式等であること。
→①~③の要件に加え、④の要件を満たすものを、「特定譲渡制限付株式」といいます。
「事前確定届出給与」に該当する「特定譲渡制限付株式による給与」となるための要件
法人がその役員に支給する「特定譲渡制限付株式による給与」が事前確定届出給与に該当するためには、「その役員の職務につき所定の時期に確定した数の株式又は確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式を交付する旨の定め」に基づいて、「特定譲渡制限付株式による給与」が支給されることが必要となります。
従って、確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式を交付する場合には、その役員の職務執行開始当初に、職務執行期間(=将来の役務提供)に係る報酬債権の額(支給額)が確定し、所定の時期までに、その報酬債権の現物出資と引換えに特定譲渡制限付株式が交付されることが必要となります。
そのため、職務執行開始当初にその報酬債権の額(支給額)が確定せず、業績状況に応じて報酬債権の額が決まる場合には、確定した額の金銭債権に係る特定譲渡制限付株式に該当しません。
また、所定の時期に確定した数の株式を交付する場合には、その役員の職務執行開始当初に付与する特定譲渡制限付株式の数が確定し、所定の時期までにその役員の報酬債権の現物出資と引換えにその確定した数の譲渡制限付株式が交付されることが必要となります。
「届出が不要となる事前確定届出給与」に該当する場合
一定のスケジュールに沿って実施される株式の交付等である場合には、事前確定届出給与に関する届出が不要となります。
具体的なスケジュールは、以下のとおりです。
具体的なスケジュール
①職務の執行の開始の日(原則、定時株主総会の日)から1月を経過する日までに株主総会等(株主総会の委任を受けた取締役会を含む。)の決議により、取締役個人別の確定額報酬又は確定数の株式についての定めがされる。
②①の決議の日からさらに1月を経過する日までに、その職務につきその役員に生ずる債権の額に相当する特定譲渡制限付株式又は確定数の株式を交付する旨の定めに従って交付されることが要件とされています。