<新年あけましておめでとうございます。>
<今年もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m>
今年のお正月は、子供が生まれてから初めてのお正月ということで、実家に帰って子供と一緒に遊んで寝て終わってしまいました。
さて今回は実務で遭遇した相談事例をご紹介したいと思います。
かなり専門的な話になりますが、レアケースでしたので備忘の意味も込めて記載します。
Question 組織再編における譲渡損益調整資産の取扱い
○x1年 当社(A社)は100%子会社であるB社に土地と建物を譲渡しましたが、譲渡益が生じたため法人税法の規定により、その譲渡益を税務上繰延べる処理をしました。
○x2年 その翌年にB社はA社から譲受けた土地建物を、A社の100%子会社であるC社(B社からすると兄弟会社)に、適格会社分割により引継ぎました。
○x3年 さらにその翌年にC社はB社から会社分割により承継した土地建物を、A社に適格会社分割により引継ぎました。
この場合に当社(A社)は、継続して繰延譲渡損益を保持し続けるとのことでよろしいでしょうか。
Answer
→ご認識の通り、引き続き譲渡損益の計上を繰り延べることになると考えられます。
法人税法61条の13 第6項では以下のように規定されています。
「~譲渡損益調整資産に係る譲受法人(当該譲受法人との間に完全支配関係がある内国法人であるものに限る。)が、適格分割等により分割承継法人等に「当該譲渡損益調整資産」を移転したときは、その移転した日以後に終了する当該内国法人の各事業年度においては、当該分割承継法人等を当該譲渡損益調整資産に係る譲受法人とみなして、この条の規定を適用する。」(抜粋)
(本件のケースでは、譲渡法人=A社、譲受法人=B社、みなし譲受法人=C社となります。)
完全支配関係者間の適格分割であれば、分割承継法人を「譲受法人」とみなして譲渡損益の繰延が継続することとなります。
これは、みなし譲受法人(C社)を分割法人とし、譲渡法人(A社)を分割承継法人とする適格分割によって譲渡損益調整資産が移転した場合であっても同様の取扱いとなり、その適格分割は、譲渡損益の戻入事由には該当しないと考えられます。(A社がその資産を譲渡等するまで譲渡損益の繰延べが継続することとなります。)
適格合併による譲渡損益調整資産の移転の場合でも同様の処理になります。
なお譲渡損益調整資産である建物については、(みなし)譲受法人側で減価償却が行われた場合には、譲渡法人である貴社において、繰り延べている譲渡損益が償却費に応じて一部実現することになりますので、ご留意頂ければと存じます。