役員の急な退任等に伴い、期中に新たな役員が就任することも少なくありません。
期中に役員に就任した者に対して「事前確定届出給与」を支給する場合には、臨時株主総会等で決議をした日から1ヶ月を経過する日までに、その役員に対する「事前確定届出給与」を提出するとともに、届出どおりに支給することで損金算入が認められることになります。
質問【事業年度の中途に就任した役員の事前確定届出給与について】
当社(3月決算)では、この度取引先の役員Aを新たに当社の役員として迎えることになり、臨時株主総会の承認を経てこの11月1日に就任しました。
そこで、他の役員と同様に定期同額給与の他に翌年の6月25日に確定額として500万円を支給する旨を臨時株主総会で決議しました。
この場合、就任後直ちに事前確定届出給与の届出書を税務署に提出すれば、他の役員と同様に損金算入が認められるでしょうか?
ご質問への回答
役員に就任した日から1ヶ月を経過する日までに、臨時改定事由に基づいてAに係る事前確定届出給与の届出書を所轄税務署長に提出することにより、損金算入が認められます。
解説
新たな役員の就任は臨時改定事由に該当するか
事前確定届出給与の制度上、役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更など「臨時改定事由」があった場合には、届出書の出し直し等ができることとされています。
本件の事業年度の中途において新たに役員に就任したことについては、その役員にとっては、その法人の役員の職制上の地位の変更であると考えられることから、臨時改定事由に該当するものと解されています。
新たに就任した役員分は通常の事前確定届出給与の届出書を提出する
新たな役員の就任は臨時改定事由に該当することから、臨時改定事由に基づく「事前確定届出給与の届出書」を役員に就任後1ヶ月を経過する日までに所轄税務署長に提出することにより、不相当に高額な部分を除き損金の額に算入することができます。
なお、提出する届出書は、すでに提出した届出書の記載内容を変更するというものではないため、変更届出書ではなく通常の「事前確定届出給与に関する届出書」を提出することになります。(すでに届出済みの役員に対する役員給与分については、記載する必要はありません。)
ご質問の場合
ご質問の場合には、Aは11月1日に役員に就任したとのことですので、11月1日から1ヶ月を経過する日までにAに対して支給する事前確定届出給与の届出書を提出することにより、翌年6月25日に支給する500万円は事前確定届出給与として取扱われることになります。