平成31年4月30日をもって「平成」が終了し、翌5日1日からは新元号「令和」が施行されました。
これに伴い、システム修正を迫られる個人事業者さんや法人さんも多かったと思われます。
今回は、元号変更に伴うシステム修正費用は税務上、「修繕費」と「資本的支出(資産計上)」のどちらになるのかを見ていきます。
修繕費か資本的支出か
元号変更によって必要となるシステムの修正費用については、2000年問題時の対応費用や、過去の消費税率引上げ時に要した修正費用等と同様の取扱いになると考えられます。
資本的支出となる場合
システムを修正したことにより、新たな機能が追加されたり、大幅に機能が向上した場合には、資本的支出として資産計上が必要になります。(法人税法基本通達7-8-6の2)
法人税法基本通達7-8-6の2 (ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)
法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
(注) 既に有しているソフトウエア、購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用は、原則として取得価額となることに留意する。
修繕費となる場合
元号の変更に対応するために行った必要最小限のプログラム等の修正等の費用(システムそのものが使用不能となるのを防ぐために要した費用)は、それによって現状機能の維持のみがされるのであって、機能の向上や追加はないと考えられるため、修繕費として一括して損金に算入されることになります。
修繕費に該当したものを資産として計上はできるか?
資本的支出に該当すれば資産計上は必須となるので、処理としては明確です。
修繕費に該当した場合に、より保守的な処理として一括損金算入せずに資産に計上することは可能なのでしょうか?(明らかに修繕費に該当している場合を想定しています。)
法律や通達に沿って原則的な取扱いを考えてみたいと思います。
修繕費に関連する条文規定については、資本的支出の取扱いを定めた法令132条はあるものの、修繕費に関する条文上の規定はなく、通達7-8-2でその意義が記載されています。
修繕費に該当した場合の条文上の取扱いについては、税法上に別段の定めがないことから、一般的な管理費として、以下の法人税法22条により損金算入時期等を判断することになると考えられます。
法人税法第22条 各事業年度の所得の金額の計算
3項 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの4項 第2項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
法22条3項では、別段の定めのない一般管理費その他の費用は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入すべきとの規定があります。
そのため、条文どおりに考えれば、修繕費は債務が確定した事業年度において一括して損金に算入することが原則的な取り扱いになると考えられ、資産として計上することは認められないことになります。
ただし、実務においては修繕費を資産計上して否認されるケースはあまり聞いたことがなく、保守的な処理であることや資本的支出と修繕費の区分が曖昧なケースも多いことから、実際に否認される可能性は低いものと考えられます。
修繕費に該当した場合において、広範囲のシステム修正であるため、金額が高額になっても修繕費と認められるか?
金額の多寡を問わず、高額であっても修正の内容がシステムの効用を維持するために行う修繕で、その修正内容についてそれ以外の機能の付加を行うものでないことが明確であれば修繕費に該当すると考えられます。
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