外国で生じた税金の申告や納付が遅れた等の理由により、外国税の延滞税や延滞金、加算税がかかってしまうことがあるかと思います。
ではその延滞税等は法人税の計算上は損金に算入することが出来るのでしょうか?
外国で生じた延滞税、延滞金、加算税は損金算入可能なのか?
結論としては損金に算入することが出来ると考えられます。
根拠としては法人税法55条に理由があります。
法人税法 第五五条(不正行為等に係る費用等の損金不算入)
内国法人が、その所得の金額若しくは欠損金額又は法人税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装すること(以下この項及び次項において「隠蔽仮装行為」という。)によりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合には、当該隠蔽仮装行為に要する費用の額又は当該隠蔽仮装行為により生ずる損失の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 前項の規定は、内国法人が隠蔽仮装行為によりその納付すべき法人税以外の租税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合について準用する。
3 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法の規定による過怠税
二 地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
4 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
二 国民生活安定緊急措置法の規定による課徴金及び延滞金
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
四 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
五 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
5 内国法人が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂又は不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第十八条第一項(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の資産の価額並びに経済的な利益の額の合計額に相当する費用又は損失の額(その供与に要する費用の額又はその供与により生ずる損失の額を含む。)は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
法人税法55条には不正行為等により生じた費用が損金に算入できるのかどうかが規定されています。
55条3項に国税又は地方税に係る延滞税等との記載があるため、日本国内で生じた延滞税等は損金不算入であることが分かりますが、外国税に係る延滞税等については触れられていません。
また55条4項1号には、外国のものを含む罰金及び科料との記載がありますが、ここで規定されている科料とは、刑事罰により支払うことになる罰金を指していると考えられます。
そのため、行政罰である延滞税や加算税等は、これには当てはまらないと考えられます。(ちなみに行政罰の罰金を過料といいます。)
以上から、外国税の延滞税等は、損金不算入となる費用を規定している上記の規定中に記載がないため、損金に算入可能であると考えられます。
大田区蒲田 濱野純税理士事務所
大手税理士法人、中小会計事務所、大手総合商社など10年以上の業界経験をもとに、大手会計事務所にも引けをとらない「高品質・付加価値の高いサービス」を「リーズナブルな価格」でご提供致しております。
・事務所ホームページはこちら
・代表プロフィール 事務所の特徴
【税務メニュー】