平成29年度税制改正では、法人税の確定申告書の提出期限の延長特例が改正されます。
今回の改正により、中小企業の確定申告期限の延長に関する事項について、従来通達で定められていたものが、法律として改めて規定されることになりそうです。
今回は確定申告期限の延長の意味、メリット・デメリットについて見ていきたいと思います。
そもそも確定申告期限とは?
法人税の確定申告期限は、決算日から2ヶ月以内と定められていますので、この日までに決算を終わらせ、確定申告書を作成し、納税も済まさなければなりません。地方税も同様です。
この取扱いは原則的な取扱いであり、一定の場合には期限を1ヶ月遅らせることができます。
確定申告期限の延長とは?
原則の確定申告期限は、決算日から2ヶ月以内とされていますが、例えば大会社などは会計監査を受けなければならないため、決算処理を到底2ヶ月以内に終わらせることができない常況です。
このような場合には、特例として申告期限を1ヶ月延長させることができます。
この取扱いは大会社だけではなく、会計監査を受けない中小企業であっても申告期限を延長させることができます。中小企業の延長は、従来、通達(税務署の内部指針)で規定されていたのですが、29年度税制改正により、法律にて改めて規定されることになります。
では具体的にどのような場合に中小企業でも延長の適用を受けることができるのでしょうか?
それは、定款にて株主総会を「事業年度終了の日の翌日から3月以内」に開催することとしていれば、法人税・地方税の確定申告期限の1ヶ月間の延長が認められることになります。(確定申告は確定した決算に基づいて計算する必要があり、決算を確定させる株主総会が3月以内に開催する常況であれば、申告期限もそれに合わせて2か月以内から3ヶ月以内へと延長させることができるという趣旨です。)
適用を受けるためには、税務署・地方公共団体に届出をする必要がありますので留意してください。
確定申告期限の延長のメリット・デメリット
確定申告期限の延長のメリット
メリットとしては、申告期限が1ヶ月延びることにより、決算・申告スケジュールに余裕を持たせることができます。
あせって間違った処理をしてしまったということも少なくなるでしょうし、納税資金の準備にも余裕が生まれます。
また税理士に決算・申告をお願いする場合であっても、タイトなスケジュールになることを避けることができます。
確定申告期限の延長のデメリット
デメリットとしては、納税額が生じる場合には利子税といういわゆる利子のようなものを追加で支払わなければいけない点が挙げられます。(利子税は損金(費用)に計上することができます。)
これはそもそも原則の提出・納税期限が2ヶ月以内ですので、1ヶ月間期限を延長することにより、借入金等の場合と同様に猶予期間について利子がかかるということであると考えられます。
提出期限の延長の適用を受けていても、原則通り2ヶ月以内に確定申告書を提出することは全く問題ありませんので、延長の手続き自体はしておいて損はないと思います。
まとめ
・中小企業の確定申告期限の延長について、法律にて改めて規定されることになった。
・これを機会に3.で記載したメリット、デメリットについて考えてみたり、顧問税理士の状況に応じて、確定申告期限を変更することを検討してみてはいかがでしょうか。