中小企業の社長さんに押さえておいて欲しい会社の税金のはなしの6回目は、接待交際費です。
それでは早速みていきましょう。
接待交際費とは
そもそも接待交際費とはどういうものが当てはまるのでしょうか?
国税庁のホームページでは以下のように記載があります。
「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用をいいます。」
簡単に言ってしまえば、得意先をはじめとする会社に関係する人へのおもてなしが交際費に該当します。
例えば、得意先と親睦を深めるために飲み会費、取引先の訪問時の手土産代、お中元やお歳暮等が該当します。
交際費であっても次のような費用は交際費から除くことができます。
飲食等のために要する費用であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用は、交際費から除くことができます。
交際費等から除くためには、参加者の氏名等を記載した書類を保存する必要があります。
接待交際費と税金計算
接待交際費は税金計算上は原則損金に算入することができません。
しかしながら、資本金1億円以下の中小法人は「事業年度期間中800万円」までは損金に算入ができ、優遇がされています。
また、飲食にかかる交際費に関しては、その金額の50%を損金に算入することができます。
つまり中小法人の場合には、1年間の交際費を集計し、800万円までの金額を損金算入するのか、接待飲食費に係る金額を50%損金算入するのか、どちらか有利な方を選択適用することができます。
間違いやすい接待交際費
会社の取引はさまざまですので、一口に交際費と言ってもなかなか判断に迷ったり、間違いやすいものがあります。
以下にそのポイントを紹介していきます。
飲み会会場までのタクシー代
自社が主催する飲み会の場合で会場までタクシーを利用した場合には、そのタクシー代は交際費に該当します。得意先を会場まで案内するために支出するハイヤー・タクシー代も、得意先に対して自社が行う接待のために支出するものですから、交際費等に該当することとなります。
一方で他社が主催する飲み会(費用は全額他社負担)の場合で、その会場にタクシーで向かう場合のタクシー代は、他社が主催する懇親会に出席するための費用であるため交際費には該当しませんので注意が必要です。
福利厚生費等の中に、役員や従業員の接待等のための支出が含まれていないか
交際費等の支出の相手方には、会社の事業に取引関係のある人だけでなく、間接に会社利害に関係ある人や自社の役員、従業員、株主等も含まれます。
そのため、従業員や役員に対する接待等の費用も交際費に含まれることになります。
売上割戻し等の中に、得意先に物品を交付するための費用や得意先を旅行等に招待するための費用が含まれていないか
会社がその得意先に物品を交付するための費用やその得意先を旅行、観劇等に招待する費用は、その物品の交付又は旅行、観劇等への招待が売上割戻しと同様の基準で行われるものであっても、交際費等に該当します。
ただし、次のような場合には交際費等に該当しないものとすることができます。
・交付する物品が得意先において棚卸資産として販売することや固定資産として使用することが明らかな場合
・その物品の購入単価がおおむね3,000円以下であり、かつ、その交付の基準が売上割戻し等の算定基準と同一であるとき
専ら役員や従業員の接待等のために支出した飲食費について、1人当たり5,000円以下であるとして交際費等から除いていないか
上記で記載したように、接待等のために支出するものであっても、飲食費用で1人当たり5,000円以下のものは交際費等から除かれますが、専ら自社の役員、従業員及びその家族に対する接待等のために支出するもの(いわゆる社内飲食費)は、1人当たり5,000円以下であっても、交際費等に含める必要があります。
棚卸資産又は固定資産の取得価額に交際費等が含まれていないか
棚卸資産又は固定資産の取得価額に交際費等が含まれている場合には、支出の事実があった事業年度の交際費等に含める必要があります。
なお、交際費等に含めて損金不算入となった場合には、税金計算上は当事業年度終了の時における棚卸資産等の取得価額を減額することができます。