一定の要件を満たす中小企業者等の設備投資に対して、臨時・異例の措置として、地方税法において、償却資産に係る固定資産税が最大で3年間ゼロとなる特例措置がとられています。
手続きがやや煩雑ですが、税制面におけるメリットが非常に大きいので、有効に活用していきましょう。
中小企業者の固定資産税の減免の概要
生産性向上特別措置法に基づき、先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業者の設備投資に対する地方税法の大胆な特例措置が講じられました。
制度の概要
・あらかじめ「導入促進基本計画」の策定を行い、適用を受けようとする市区町村に提出し認定を受けます。
・認定後、認定を受けた「先端設備等導入計画」に基づいて取得した一定の設備に係る固定資産税の課税標準について、一定の減免を受けられることができる。
・“一定の減免”とは、新規取得設備に係る固定資産税の課税標準が3年間にわたってゼロ~1/2の間で、市町村が定めた割合に軽減されることをいい、最大で3年間の固定資産税がゼロとなります。
減免の要件
適用を受けることのできる対象者や対象設備等の要件は、下記の表の通りです。ここでの要件を満たすポイントは、次のとおりです。
ポイント
① 「先端設備等導入計画」の認定を受けていること
② ①の計画に基づく、設備投資であること
③ ②は、工業会の証明を受けた新品の資産かつ対象設備の要件を満たす資産であること
先端設備等導入計画とは?
「先端設備等導入計画」とは、中小企業者等が設備投資を通じて労働生産性の向上を図ることを目的とした計画書になります。
これは、生産性向上特別措置法に基づく措置で、この「先端設備等導入計画」の認定を受けることにより、税制面の優遇措置である固定資産税の減免のほか、金融面でも支援を受けることができます。
計画の記載内容として、以下の内容を盛り込むことになります。
①先端設備等導入の内容
・事業の内容及び実施時期
・労働生産性の向上に係る目標
②先端設備等の種類及び導入時期
・直接当該事業の用に供する設備として取得する設備の概要
例)機械の種類、名称・型式、設置場所等
③先端設備等導入に必要な資金の額及びその調達方法
その他の「先端設備等導入計画」の主な要件は、以下をご確認ください。
先端設備等導入計画の認定と固定資産税減免までの流れ
①まず対象となる設備について、購入した設備メーカー等に証明書の発行を依頼します。
(②~③依頼を受けた設備メーカー等は工業会等に証明書の確認を受けます。)
④設備メーカー等から証明書を入手します。
⑤~⑥認定経営革新等支援機関(商工会議所、商工会等)に、「先端設備等導入計画」について確認を受け、確認書を発行してもらいます。
⑦~⑧計画申請書及びその写しとともに④の工業会証明書の写し、⑥の経営革新等支援機関の事前確認書を添付して、市区町村に計画申請します。市区町村より適正と認められれば、認定書等を発行してもらえます。
⑨~⑩認定を受けた先端設備等導入計画に基づき取得した先端設備等で、上記の減免の要件を満たす場合には、税務申告において税制上の優遇措置の適用を受けることができます。
税務申告に際しては、納税書類に④の工業会証明書の写し、⑦認定を受けた計画の写し、⑧認定書の写しを添付する必要があります。
設備の取得時期の留意点
対象設備等の取得は、「先端設備等導入計画」の認定後に行われることが必須となっています。(「経営力向上計画」のように、設備取得後に計画申請を認める特例はないため注意が必要です。)原則は、申請時に工業会の証明書の提出が必要となりますが、償却資産税の賦課期日までに追加で提出することで適用を受けることも可能です。
まずは所在地の市区町村の状況を確認し、この措置の適用を受けられるようであれば、活用できるかどうか検討されることをお勧め致します。
大田区蒲田の「濱野純税理士事務所」
大手税理士法人、中小会計事務所、大手総合商社など10年以上の業界経験をもとに、大手会計事務所にも引けをとらない「高品質・付加価値の高いサービス」を「リーズナブルな価格」でご提供致しております。
・事務所ホームページはこちら
・代表プロフィール 事務所の特徴
【税務メニュー】