税務上でよく論点となる販売奨励金、販売促進費に関する税務事例の第三弾です。
販売奨励金は、交際費や寄付金と区別が難しい部分があり、損金(費用)として処理する場合には、よく内容を確認してから処理をする必要があります。
↓その他の販売奨励金等の事例についてはこちら
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販売奨励金・販売促進費の税務上の取扱いの件
売上を伸ばすために、販売子会社や取引先に販売奨励金や販売促進費を支出する場合があります。 販売子会社等にとっては、受け取った販売奨励金を基に売上向上策を講じ、実際に売上が上がれば、仕入先 ...
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【販売奨励金・販売促進費の税務②】特約店等の従業員に交付する販売奨励金品
販売奨励金とは、自社製品等の販売促進の目的で特定の地域の得意先である事業者に対して金銭又は事業用資産を交付する費用をいいます。 販売奨励金は、販売促進を目的とするもので、贈答とはその趣き ...
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【販売奨励金・販売促進費の税務④】販売奨励金と売上割戻しの違いは何か?
販売奨励金と販売促進費に関する記事の第四弾です。 販売奨励金によく似たものに「売上割戻し」という概念があります。売上割戻しとは、いわゆるリベートや値引きのことです。 今回はこの混同しがちな「売上割戻し ...
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【質問】特約店、代理店等の従業員に対する健康診断、生命保険料等の負担
【質問】
①当社は、従業員の健康管理の一環として巡回バスにより健康診断(巡回健康診断)を行っていますが、診断人員に余裕があるところから、当社の代理店等の全従業員に対しても希望する者には健康診断を受けさせています。
巡回健康診断に要する費用は、当社が全額負担しています。この場合、代理店等の従業員のために負担する巡回健康診断費用は、交際費等又は寄附金以外の単純損金として差し支えありませんか。
②①に加えて、代理店等の従業員を対象とする掛捨て保険の保険料を負担した場合のその負担額についてはどうでしょうか。
【ご回答】
①、②共に販売奨励金として取り扱われ、交際費又は寄附金には該当しません。
租税特別措置法61の4(1)-7(注)において、次のように記載がされています。
租税特別措置法61の4(1)-7(注)
(注) 法人が特約店等の従業員等(役員及び従業員をいう。以下同じ。)を被保険者とするいわゆる掛捨ての生命保険又は損害保険(役員、部課長その他特定の従業員等のみを被保険者とするものを除く。)の保険料を負担した場合のその負担した金額は、販売奨励金等に該当する。
特約店等の従業員を対象とした掛捨ての生命保険又は損害保険の保険料を負担した場合には、販売奨励金として取り扱うことができます。
健康診断費用の負担についても、代理店等の全従業員を対象としていることから、掛捨て保険料の取扱いと同様に、販売奨励金等に該当するものと考えられます。
ただし、以下の点について留意が必要です。
〇特約店、代理店等の全従業員を原則対象とすることが必要になります。例えば、役員や役職者等、特定の人のみを被保険者とするものは、掛捨てであっても交際費となります。
〇販売奨励金となるのは、掛捨て部分のみであって、満期返戻金のあるものや養老保険の保険料を負担した場合には、特約店等の従業員に対する経済的利益の供与として交際費等に該当するものと考えられます。
【編集後記】
9月1日より、税理士事務所を開業いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。