販売奨励金と販売促進費に関する記事の第四弾です。
販売奨励金によく似たものに「売上割戻し」という概念があります。売上割戻しとは、いわゆるリベートや値引きのことです。
今回はこの混同しがちな「売上割戻し」と販売奨励金の違いについて考えていきます。
【質問】販売奨励金と売上割戻しの違いは何か?
【質問】
売上割戻しと販売奨励金はともに得意先との取引関係に基づいて支払われるものですが、両者の違いは何でしょうか。
【ご回答】
〇売上割戻しは、売上高等に応じて支払われるなど、リベート・値引きとして行われるものです。販売奨励金は、自社製品等の販売促進を目的として行われるものです。どちらも得意先に対する金銭等の交付であり、交際費には該当しません。
【解説】
売上割戻しとは、法人がその得意先に対し、売上高や売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに、売上代金を返戻する(いわゆるリベート)ことをいい、交際費とは区別されています。
得意先の営業地域の特殊事情、協力度合い等を勘案して金銭で支出する費用についても売上割戻しとして認められます。
このような売上割戻しが交際費等に該当しないこととしているのは、次の理由によります。
〇支出される金銭が得意先である事業者に取引の対価の修正額として帰属する
〇得意先に対して自社製品等の販売意欲を高めるために、一定の基準に基づいて取引高の修正として売上代金を返礼する行為が、企業間の正常な取引行為の一環として行われるものであると認められること
一方、販売奨励金は、売上割戻しのような一定の支払基準の必要はなく、自社製品等の販売促進の目的で、特定の地域の得意先である事業者に対して金銭又は事業用資産を交付するものをいいます。
販売奨励金は、販売促進を目的とするためのものであることから、以前の記事でも見てきたとおり対象範囲が広いのが特徴です。
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【売上割戻しと販売奨励金の違いまとめ】
〇どちらも得意先に対する金銭等の交付であり、交際費には該当しません。
〇売上割戻しは、売上高等に応じて支払われるなど、明確な支払基準に基づいて支払われるリベート・値引きとして行われるものです。
〇販売奨励金は、特に支払基準について定まってはいませんが、自社製品等の販売促進を目的として行われるものです。