金融機関から借入を行う際に、金融機関によりシンジケート・ローンが組まれることがあります。
シンジケート・ローンとは、複数の金融機関がシンジケート団を組成して、各金融機関が一つの契約における同一の契約条件に基づき行うローンのことをいい、各金融機関で負担とリスクを分散するために行われるものです。
今回はシンジケートローンにより支払うことになるアレンジメントフィーの取扱いについて考えていきます。
質問【シンジケートローンにおけるアレンジメントフィーの取扱い】
【質問】
当社では、多額の設備投資を行うために資金の一部を金融機関からのシンジケートローンにより調達するため、A銀行をアレンジャーに任命し、シンジケートローンを組成するためのアレンジャー業務を委託しました。
A銀行のアレンジャー業務に関して当社がA銀行に支払う手数料(アレジメントフィー)について、税務上どのように取り扱えばよいのか教えてください。
ご質問への回答
アレンジメントフィーについては、貴社において貸付実行日が含まれる事業年度に、アレンジメントフィーの全額を一時の損金とすることができると考えられます。
解説
アレンジメントフィーとは
「アレンジメントフィー」とは、幹事金融機関(アレンジャー)が行う業務(ストラクチャーの提案、シンジケート団の組成に際して、参加金融機関の募集、融資条件のとりまとめ、契約書の作成及び調印式のアレンジ等)の対価として支払うことになる手数料のことをいいます。
アレンジメントフィーの税務上の取扱い
アレンジメントフィーは、基本的には、貸付け取引とは独立した上記のようなアレンジャー業務に係る対価としての整理が一般的であると考えられます。
したがって、アレンジメントフィーは借入れに要する費用として損金に算入することができます。
また、消費税の取扱いにおいては、上記のとおり、アレンジメントフィーはアレンジャー業務の対価として支払われるものであることから、課税取引となると考えられます。
アレンジメントフィーの損金算入時期
アレンジメントフィーを貸付事業年度において一時の損金とするためには、アレンジメントフィーの金額につき「債務が確定していること」が必要です。
債務が確定しているとは
債務が確定していることとは、以下の要件のすべてを満たしていることをいいます。
①債務が成立していること
②役務の提供があったこと
③金額を合理的に算定できること
《「債務が確定していること」についてはこちらの記事も参考にしてください》
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アレンジメントフィーについては、基本的には、アレンジャー業務が金銭消費貸借契約等の締結又は貸付けの実行により完了すると考えられることから、貸付事業年度時点において債務が確定しており、全額を一時の損金とすることができると考えられます。