外国税額控除の計算では、外国で課された外国税を日本の確定申告における税額計算において、そのまま無制限に控除することはできません。一定の計算に基づき算出された金額を控除することになります。
今回は外国税額控除の基礎として基本的な計算の仕方について確認していきます。
対象となる外国の税金(控除対象外国法人税)の把握
外国で稼いだ所得に対して課された外国の税金(外国法人税といいます。)を把握し、外国法人税のうち外国の所得に対する負担が35%を超える部分をカット(高率負担部分のカット)します。(一般的な場合であり、利子等について課される源泉税については別途計算方法があります。)
カットした後の税額を、控除対象外国法人税として外国税額控除の対象とします。
控除限度額を計算する
控除対象外国法人税額をそのまま無制限に税額控除することはできません。外国税額控除には控除限度額の規定があります。
控除限度額の計算の方法は、法人全体として課される日本の法人税等に、国外所得(外国で稼いだ所得)の全世界所得に占める割合を乗じて計算した額を控除限度額とし、この範囲内で外国税額控除を行うことができます。
算式としては、次のようになります。
控除限度額の計算
控除限度額 = 全世界所得に係る法人税等 × 国外所得/日本を含む全世界所得
外国税額控除の最終的な控除額
最終的な外国税額控除の金額は、上記の「控除対象外国法人税額」と「控除限度額」を用いて計算されます。
具体的な計算方法としては、次のようになり、導き出された金額が当期の外国税額控除の金額となります。
外国税額控除額
外国税額控除の金額は次の①と②のうち、いずれか小さい額
①控除対象外国法人税額(高率負担部分のカット後の外国法人税額)
②控除限度額 = 全世界所得に係る法人税等 × 国外所得/日本を含む全世界所得
控除余裕額と控除限度超過額の繰越し
上記の外国税額控除の計算で用いられた①控除対象外国法人税額と②控除限度額のうち、どちらか超えた部分を3年間繰り越すことができます。
この繰越制度を利用することで、国外所得の発生年と外国法人税等の納付年とのズレを調整し、外国税額控除の適用を受けることができます。
例えば、控除対象外国法人税額が多額にあるにもかかわらず、控除限度額が無い場合には、過年度から繰り越されてきた控除限度額(控除余裕額といいます。)を利用することで、当期に外国税額控除を受けることができます。
また、控除限度額に余りがある場合で、過年度から繰り越されてきた外国税額(控除限度超過額)がある場合においても、当期に外国税額控除を受けることが可能となります。