個人事業主の方であれば、必ず知っておいてほしいのは、青色事業専従者給与の取扱いです。
青色申告で青色事業専従者給与の届出を行っていれば、家族への給与を必要経費にすることができます。
今回はこの青色事業専従者給与の額を変更したい場合はどうしたらよいのかをみていきます。
そもそも青色事業専従者給与とは?
青色専従者給与については、下記の記事で詳細をご説明しています。
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【起業・個人事業主の基礎④】専従者給与(控除)のポイント~要件・源泉徴収~
事業を一緒に手伝ってくれる家族を「専従者」といいます。 青色申告の場合で、専従者へ給与を支払った場合には、一定の要件を満たせば全額を経費にすることができます。(白色申告の場合でも一定額を ...
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青色事業専従者給与について復習しますと、ポイントは以下になります。
■通常では家族に対する給与については、必要経費にすることができません。ただし青色申告者の場合で、次の要件をすべて満たす親族(「青色事業専従者」といいます。)に対して支給した給与については、「青色事業専従者給与」として必要経費に算入することが可能です。
青色事業専従者の要件
- 青色申告者と「生計を一」にする配偶者その他の親族であること
- その年の12月31日現在で年齢が「15歳以上」であること
- その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業にもっぱら従事していること
■「もっぱら従事」というのは、その年の6ヶ月間よりも多く事業に従事しているということをいいます。又は「事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間」働いている必要があります。
青色事業専従者給与の適用のための要件【税務署への届出】
青色事業専従者給与を経費とするための要件は、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出すること必要です。
提出期限は原則、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日となります。
ただし、1月16日以降に開業した場合や、新たに専従者がいることとなった場合は、その日から2ヵ月以内に提出すれば間に合います。
「青色事業専従者」に、届出書に記載されている方法により給与が支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われることが求められます。
青色事業専従者給与の額についても、労務の対価として相当であると認められる金額であることが必要です。過大とされる部分は必要経費とはなりませんので注意が必要です。
青色事業専従者給与は年の途中で変更が可能
青色事業専従者給与の金額については、一度決めたら変更ができないということはなく、年の途中で変更しても基本的には問題ありません。(法人の役員報酬のように毎月同額でなければならないという要件はありません。)
青色事業専従者給与は、「届出書」に記載されている方法により給与が支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われることが求められます。
したがって、届出した金額の範囲内であれば、業績が悪化した場合には減額し、再び上向いた場合には元に戻したとしても頻繁でなければ問題ありません。
また賞与についても、届出した金額の範囲内で業績等に応じて支給することが可能となります。
届出している金額を超える場合には変更届出を提出【変更理由を明確に】
青色事業専従者給与に関する変更届出書
「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した給与額を超えて増額する場合には、変更内容や理由などを記載した「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出する必要があります。
様式は、通常の「青色事業専従者給与に関する届出書」と同じ様式となっています。
提出期限については「遅滞なく」と定められていますが、増額後の給与を最初に支給する日までには提出しておいた方が良いでしょう。
変更届出書の提出がないまま増額した給与を支給した場合、増額分が経費として認めれられない可能性がありますので注意してください。
青色事業専従者給与に関する変更届出書の【変更理由】
青色事業専従者給与に関する変更届出書には変更理由を記載する必要があります。
増額する場合の理由として、「売上が上がったから」「利益が出そうだから」といった理由は好ましくありません。それだけだと利益操作とみなされる可能性があるからです。
そのため、その変更理由が、金額の基準を変更するという目的に合わせたものになっていなければいけません。
例えば、「事業規模が拡大して業務量が増えた場合」や、「他の家族ではない従業員にベースアップがあり、それに合わせるため青色事業専従者給与の額も増額する」、「業務上必要な資格を取得し給与を増額する」などの十分な理由が必要です。
届出している金額の範囲内の給与増減であれば届出不要
「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した給与額の範囲内の増減であれば、別途届出書を提出する必要はありません。
そのため、最初に届出書を提出する際に、支給しようと思っている給与額より少し高めの額を記載しておくと、届出額の範囲内で増額した際に「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出する手間が省くことができます。
青色事業専従者給与の額を変更する場合の注意点
年の途中での変更が認められているからといって、青色事業専従者給与の金額をやたらに増減させることは避けた方が良いでしょう。
専従者給与は家族への給与ですから、比較的容易に金額を変更することが可能です。
そのため、税務署から「専従者給与の額の増減=利益操作」と疑われることになり、最悪の場合には専従者給与の金額を否認されてしまう可能性もあります。
基本的には毎月定額支給とし、もし変更するような場合には、変更する理由を明確にしておくことが大切です。
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